隈 研吾 × サンゲツ「 カゲトヒカリ」

日本人の美意識と建築空間をつなぐKAGETOHIKARI

建築と人間の関係を見つめ、経年変化する天然素材を取り入れる。その先で自身の建築的美学を具象化し世界的に評価を受けてきた建築家、隈研吾。

江戸時代、紙を主体とした襖・屏風からはじまり、現在、住宅から公共施設など、あらゆる建築物に使用される内装材を扱うサンゲツ。

両者が重ねた対話のテーマは伝統的な日本の美を壁装材・床材により如何に表せるかだった。空間に現れる陰影の中で、かすかな光が移ろい、揺らぎ、重なる……その「カゲ」と「ヒカリ」による表情を、壁装材・床材で生み出したいと考えが一致した。その新しい表現を持つ壁装材・床材を実現させるために加わったのは全国の生産現場で活躍する技術者・職人たちだ。

表情豊かな麻・楮などの天然素材と耐久性に優れたナイロン・塩ビなどの合成素材を編み・織り・漉きといった卓越した技術で融合させ隈研吾が求める美、「カゲ」と「ヒカリ」を作り出していく。

そして、3年の歳月を経て、今ここに日本人の美意識と建築空間をつなぐKAGETOHIKARI コレクションが誕生しました。

KENGO KUMA

隈 研吾

元来より日本人は、光と影の世界観や 陰影に美しさを感じ、大切にしてきました。その中でも『陰(カゲ)』の中にある光の移ろい、重なり、不完全さ、美しさを見つけ出してきたと思います。そこで、今回は『カゲトヒカリ』をテーマとし、素材感による温もり、手触り感、五感に響くデザインを表現したいと考えました。

また、形の原型とも言える 「点」「線」「曲線」といった普遍的な要素を用いデザインを構成することで、建物と 人・地域性を考えていく際の基盤となるように設計しました。

KAGETOHIKARI コレクション

3つのラインナップ

コレクションのラインナップは「しゃらしゃら」「もわもわ」「つぶつぶ」から成る3つのカテゴリー。

レイヤーの奥行きを感じる「しゃらしゃら」、やわらかな霧のようにけぶる「もわもわ」、粒子による陰影が表情豊かな「つぶつぶ」。

隈研吾がさまざまな「カゲ」に見出だした美しさ、素材感が伝わるデザインが壁装材・床材で実現されています。

KAGETOHIKARI – しゃらしゃら

幾重にもかさなった線が風になびくと鳴る「しゃらしゃら」という音。
線に生じる「カゲ」が織り成す奥行き感が表現されています。

どこまでも深みが続くように

線の追及による「カゲ」の表現。
幾重にもかさなる線は「カゲ」となり、しゃらしゃらと音が聞こえてくるように
空間全体の奥行き感を膨らませていく。

線の「カゲ」が織り成す 奥行き感に家具が引き立つ

重なる線の温かみ

MOWA MOWA WALLCOVERINGS

ラインが交差した和紙の壁紙は、和紙を漉く過程での楮繊維をそのまま利用、線の重なりを形にしています。
バイアス柄の織物の壁紙は、職人が糸を交差に置き、その上から繊細な生地を被せることで固定させて仕上げています。手加工ならではの粗密や歪みの 不均衡さを味や温かみとして表現。
アルミ紙と和紙を組み合わせた壁紙は、和紙の素材感と印刷による斜めに流れる線が複雑に重なり合い奥行きをつくり出しています。

グラデーションの真骨頂

SHARA SHARA CARPET TILE

床材は、グラデーション糸を用いたベース部分に、単色の水平・垂直・斜めグリッドをラ ンダムに配置し、線の重なりによってできる「カゲ」の奥行き感を追求した柄です。通常は1色の糸で構成させるところを、4色を短いピッチで1本の糸に同系色でグラデーションさせる技術を開発。編みこんだ糸をほどき、タフトすることで生まれたさまざまな方向に曲がるカットパイルによって、よりボリューム感を持たせた温かみある風合いと、自然素材の持つ 深みを同時に実現。

もわもわ

「ヒカリ」の中に現れる「もわもわ」とした有機的な「カゲ」の形。
ゆっくりと流れる時間の移ろいと空気感を感覚的に表現

揺らぎの連続が移ろいゆく

「カゲ」の中の有機的な形への追求。
さまざまに立ち現れるムラ、揺れ動くような面、大小の有機的な曲線。
流れ移ろい、さまざまに揺らぐ「カゲ」たちの中身を置き感じる、もわもわと生み出された温かみ。

もわもわとした「カゲ」の優しさの中に 究極のさりげない椅子による安らぐ座り心地

撚れの美しさに包まれて

MOWA MOWA WALLCOVERINGS

織物の撚れ(よれ)をパターン化した壁紙は、織物の撚れや不安定な素材の特徴をあえて意匠に利用。ベースにアルミ紙を置き、繊維の撚れをより強調し奥行きのある光沢感をつくり出すことで、角度によって異なる揺らぎが現れるのが大きな特徴。
自然なバラツキが特徴の紙布の壁紙は、紙糸による不安定さが粗密となり、引いて見ると大きなムラとなるように面が揺れ動く様を表現。

たゆたうカゲトヒカリ

MOWA MOWA CARPET TILE

床材は、「カゲ」が揺らぐ様を大小の有機的な曲線で構成。
さらに染色のピッチを長くとったグラデーション糸を用いることで、色の揺らぎと、線の揺らぎを組み合わせ、移ろいによって「カゲ」が動いている様を長方形サイズで表現。

つぶつぶ

「カゲ」の中の「つぶつぶ」
その不均一さや凹凸感のバランスを追求することで
「カゲ」が本来生み出している力強さや温かみを表現。

屹立するつぶたちの表現力

つぶによる表情はさまざまに。
手塗りによるムラのような凹凸のつぶ
和紙の素材感を際立たせたつぶ
糸の不均一さにより多彩に表現されたつぶ。
そこにじっと佇むと、いろんなつぶが見えてくる。

無数のつぶが織りなす床と壁に包まれて 厚みのあるシートが身体を優しく受けとめる

心安まるムラのいごこち

TUBU TUBU WALLCOVERINGS

陶器のような質感が特徴の壁紙は、紙自体が持つ不規則な凹凸と職人による手塗りのムラを活かして、より和空間にあう商品を目指してつくられたものです。
小さなつぶつぶの表情を持つ壁紙は、和紙繊維に同比重の粒子を混ぜ込むことで、立体感のある和紙素材の表情をつくり出しています。

グラデーションの真骨頂

TUBU TUBU CARPET TILE

床材は、大小さまざまにつぶの大きさをデザインし、それらのつぶの配置による粗密さや、さらに細かな凹凸を加えることで、「カゲ」が持つ豊かな表情を追求。特殊糸を用いたカットパイルによって、ボリューム感を持たせた温かみある風合いに加え、グラデーション糸を用いることで、つぶ一つ一つの不均一さを強調することに成功。